沿革
沿革
近年、社会環境の発癌性要因の増加、国民の高齢化に伴い、腫瘍罹患数は年々増加し、年間死亡率では第2位と高く、腫瘍は私共医療担当者のみならず、国民の大きな関心事となっております。
口腔領域には粘膜の前癌性病変、軟組織、骨組織および、大小唾液腺由来の良性あるいは悪性腫瘍の発生がみられ、また特に歯牙に関連した歯原性腫瘍があり、その腫瘍性病変は極めて多彩です。
今日、これら腫瘍病変の実態の把握はなお不充分であり、臨床的診断ならびに、病理組織学的診断の客観的基準の確立は、明日の課題とされています。
悪性腫瘍の治療は、放射線療法の進歩、化学療法剤および、免疫療法剤の開発、再建外科的手法の導入などにより、その予後成績を改善させつつありますが、一層の向上、発展が望まれています。
歯原性腫瘍については手術療法が主体とされているものの、その悪性型の存在とあわせて、診断基準の確立、腫瘍登録制の実施、適切なる治療法の開発、選択には未解決の問題が多数みられます。
また、腫瘍治療後においては、再発予防、口腔機能改善、顔面審美性の回復、社会復帰などが重要な課題となっています。
特に、口腔腫瘍の治療に当っては、
1. 腫瘍性病変の存在によって、あるいはその除去によりひきおこされる咀嚼、咬合、構音、嚥下、味覚などの口腔の重要機能の障害をいかに克服するか
2. 人間の尊厳の象徴といわれる顔面形態の保持、再建と心理学的影響などをいかに克服するか
これら2大難問に常に直面するものであり、この点で他領域腫瘍の治療の場合と大きく異なっております。言いかえれば、この課題の中に、本口腔腫瘍懇話会設立の必要性と特異性を見い出すものであります。
以上述べた、口腔領域腫瘍の診断、治療に当っての諸課題は各専門領域にわたり、解剖、生理などの基礎医学部門から、病理、臨床薬理、放射線科、口腔外科、歯科各科、医科関連各科など、広範な専門領域担当各位の協力によって達成されるものと考えます。
したがって、これら諸課題の達成を追求するにあたって、これら領域の専門家が一堂に会して、自由に活発な意見交換のできる場が必要と考え、本会の設立を企画しました。
上記の趣意に皆様の御賛同を得、本会の発展のため、口腔領域腫瘍を対象とする専門各科多数の方々が、各自のご意見をもって本会に御参加下さるようお願い申し上げます。
1983(昭和58)年 2月26日